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~昆虫採集記シャープゲンゴロウモドキ編(2003年7月16日初採集)~

 

 7月15日、以前から図鑑などで目にしていたシャープゲンゴロウモドキの採集に出かけることにした。シャープゲンゴロウモドキには二つの亜種がいて、一つは千葉県に生息が確認されていて個体数、生息地とも極端に限られているアズマゲンゴロウモドキ。一方、石川県、富山県、新潟県などの主に日本海側に生息が確認されているコゲンゴロウモドキがいる。どちらも大変貴重で、その絶対数もかなり少ないため、幻の水生昆虫といわれているらしい。そのため捕れるかどうかは運にも左右されるということになる。エゾゲン採集のときと同様に、全く以って、順序がハチャメチャである。シャープゲンゴロウモドキは生息地に対する要求性が高く、今回は特にポイント探しが特に重要になることは間違いなさそうである。初心者である自分はアズマより比較的個体数と生息地が確認されているコゲンモを攻めることにして、石川県の能登半島へ向かうことにした。

 
 岩手県大船渡市から107号で秋田県の日本海側へ抜けて、南下。新潟県、長!かなりの長旅の末、ようやく石川県の輪島市に到着。新潟県の8号線で朝、酷い渋滞に巻き込まれたことと、休憩を入れずに運転していたこともあって非常に疲弊しきっていた。輪島市(穴水だったかも)にある道の駅に着いたときには深夜だったので明日に向けて体を休めることにした。着いたときには雨がしとしとと降っていて、明日には止まないかな~などと外を時折眺めながら、車内で図鑑と本を読んでバッチリと明日に向けての予習も済ませた。

次の日の天候はすっきりしない天気ではあるが、そんなことは気にも留めず、テンション高く、気分はマックス。早速ポイント探しに向かう。針葉樹林が多く薄暗いところでは少し不気味であった(かなり臆病、これじゃヒグマの生息圏である

北海道採集には行けないな;)。実家の方では休耕田や放棄水田は、ほとんど目にしたことがなく、本や雑誌でみたような場所がなかなか見つけることができず、本当にあるのかどうか非常に困惑した。また能登地方は、かなり広範囲にわたる針葉樹林帯と山に覆われているため、見通しが悪く目に付くところはいたるところに杉ヒノキの類ばかりで本や雑誌で言う‘山間部の休耕田’といっても、今ひとつピンと来ない部分があった。大きな道から細い脇道にそれていくところが、たまたま見つかったので進んでいくと棚田が広がっているが、今は利用されていないようであり、休耕田となっていた。所々に草が生い茂りこれに水があればなぁなどと思いながら車窓を開けて外をのぞくと上流から流れてくる川のせせらぎとそれが休耕田にPhoto 流れ込んでできた湿地を発見することができた(左写真)。雰囲気的に何か良さ気である。何しろ初めてのシャープゲンゴロウモドキ採集なので、何がどういうふうに良ければ可能性がある、なんていう定石みたいなものは全く知らないため手当たり次第良さそうなところはあたってみるしかない。ということで、とりあえず車を止めて見に行くことにした。

かなりの湿生植物が生い茂り、セリに至っては花を咲かせていた。この時、シャープのいる放棄水田などではセリが多く生育しているのを目にすることができるというようなことを本や雑誌で載っていたのを思い出して、いるかどうかもわからないのに、なぜかニヤけてしまった(傍からみれば、かなりアブない人物に見えること間違いなし)。もうここしかない!と勝手に決め込んで早速準備にかかり、いざ出陣。土手を下りていくとハッチョウトンボの群れとイトトンボ(種類まではみていないがかなり多くの種類)が出迎えてくれた。シャープは警戒心がかなり強いらしく物音がすると水草の根元や泥中に潜ってしまうと本では書かれていたが、音を立てずに水田に入ること自体、この場所では不可能に近かった。バキバキと枯れた細い枝の折れる音を立てながら進むと水田の方からチャプっという音が聞こえてきた。カエルか何かの生き物であろうと思いながらも、その場所に網を入れて泥ごと掬ってみる。するとオタマジャクシがたくさん入ったが、そのほかには目を引くものはなく水草が大量に入っていたので出そうとしたとき緑色の尻が水草の間から出ていて、その尻にはラインの入った溝がいくつか見えた。青森県ではエゾゲンゴロウモドキを捕ったときに♀がこのようなラインの入った溝を有していたのをすぐさま思い出したこと、ここは石川県であり、エゾゲンの記録はおそらくないと思われること、これらが一気に頭の中で処理されたことによる期待が高まり、早速水草をどける。おわ~~わぁ~(もう言葉にならない)。ありえねぇぇぇぇ~。網の中にまぎれも無くあのシャープ(コ)ゲンゴロウモドキだぁぁぁぁ~(朝7時21分)。捕ってしまったぁぁと心の中でエコーが架かると同時にプルプルとニヤケながら身震いしていた。妙に冷静ではあったが口もとは間違いなくV字になっていたのを覚えている。水田横の道路はかなり細い道であったが、以外にも車の行き来が多く、付近に誰もいない水田で一人ポツンと立ちながら、にやけた姿は、その道路を走り去っていく車からは、どのように映っているのかあまり想像したくない。天気は悪く薄暗い時に、田んぼの中心近いところでにやけて何をしているのか?変質者と間違えられても一向に不思議ではない状況である。曇り空ではあるが、紫外線によって翅が緑色に輝いていた。この瞬間が最も印象的であった。また、成体はかPhoto_2 なり翅に艶があるため、今年の新成虫であると考えられる。(後に羽化したての個体は、こんな色をしていることを知りました。)採集できたのとほぼ同時に、雨が降り始めた。ぜひ今のこの瞬間をいろいろとカメラに収めておきたいと思い、網をねじって逃げないように道端に置きカメラを車にとりに行った。これが地獄の始まりだとは知らずに・・・。車内からカメラを取りだし、再び網の置いてあるところへ戻り、写真を撮ろうと網の中を覗いてもいない、水草の中に隠れてしまったのかなと探すがいない。どこにもいない・・・。最悪の事態である。超珍虫をゲットしたにもかかわらず逃がしてしまったらしい。付近の草むら、道路等を捜したが一向に見つからない・・・・。ショックどころの騒ぎではなかった。至極の幸福と至極の不幸をひと時(およそ2分間)の間に両方味わってしまった。自分は真の間抜けだと思った瞬間でもあった。ガクッと来て一気にやる気が抜けてしまった・・・。

しかしこの休耕田には、シャープがいることがわかったため、まだ居るかもしれないと気を取り直してバシャバシャ網を振る。セリが群生している付近のところをガバッと掬ったところ、次はシャープの♂をゲットできた。こちらも翅に傷がなく艶艶して、とてもきれいなので今年羽化したばかりの個体であると考えられる。それにしても大量のセリが、よくもまぁ、これほど生い茂っているものだと感動した。セリはシャープの産卵草でもあるので踏み倒すのは避けて採集をした。シャープゲンゴロウモドキ♂×1、♀×1(逃走)のほか、オオコオイムシ(初採集、コオイムシより幾分大きい)×大量、ガムシ×3、ヒメゲンゴロウ×大量、ヒメミズカマキリ×1、泥まるけの小さなヤゴ(種名は不明だが、おそらくハッチョウトンボ)×大量、オタマジャクシ×大量、ハッチョウトンボ♂♀成虫×大量、イトトンボ×多数の種などである。

結局いろいろな場所に♀を求めて、アプローチを試みたが採集は出来なかった。シャープの生息地は本当に限られているということを実感させられる日となった。しかし、初めての採集にしていきなり採集できるとは思わず、捕れなくて当たり前程度に考えていたため、逃がしてしまった後悔よりも感動による嬉しさの方が若干大きかった。捕れたときの興奮とハイテンション、そして逃走したシャープのことをいろいろ想い、自分の未熟さなどを考える内に、気づかれを起こしていたのか、かなり疲弊していた。そのため今回はシャープゲンゴロウモドキの♂のみ持ち帰りにして帰路に着いた。疲れたけれども本当に楽しかった。

今思えば本当に運がよかったと思う。すぐに採集ができそうなポイントを見つけ、そこで採集ができた。初めてのゲンゴロウ採集の時からそうであるが、車をもって移動ができるようになってから採集へ行くところ行くところ必ず目的のゲンゴロウが採集できる。映画など脚本のシナリオ通り話が進んでいくように、本当にうまく行き過ぎて、これらのことを深く考えるとおかしくなりそうである。採集初心者といってもやはりゲンゴロウ採集は良好なポイントが探せるか探せないかによるものだということに確信が持てた。しかしそれでも、今回のシャープ採集は本当に運によるものだと思う。シャープのいるような場所はあっても水が無かったり、農薬汚染された水田であったりと、自分自身が主要道路から、たまたま曲がった道沿いに見つけることのできた休耕田で、偶然シャープが見つかったとなんて、なかなか信じてもらえる話ではない上に、まさか、そこにいるとは思わなかったからである。今回は一箇所だけしか見つからなかったけれど、また能登半島で新たな生息地を発見して楽しみたいものである。時間を見つけてまた来ようと思う。

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